「HEAVY RAIN −心の軋むとき− PlayStation®3 the Best」版にてプレイ。
- フランスのクアンティック・ドリーム制作のアドベンチャーゲーム。ストーリー志向が強く、絵作りにしろ芝居にしろ音楽にしろ、まるで金のかかった海外ドラマのよう。一方でゲーム性は弱く、一応ムービーシーン以外ならゲーム世界内を歩き回ることはできるが、戦闘はいわゆるQTEのみ、つまり表示された通りにボタンを押すだけ。あまり面白いものではないが、まあラスアスみたいにスティックで射撃させられるよりはマシかも知れない。
- 話の中身は一応ミステリーで、主に4人の登場人物の視点を切り替えながら話が進む。本筋にあたるイーサンの筋を説明すると、シングルファーザーであるイーサンが、折り紙殺人鬼と呼ばれている連続児童殺害犯に息子ショーンを誘拐されるという話である。この殺人鬼は児童を雨水の溜まる穴に閉じ込め、少しずつ溺れさせて殺し、死体に折り紙を握らせて線路沿いに放置するという手口で既に多くの児童を殺している。ところでイーサンは時々記憶を失う病を患っており、これまで度々、気づくとなぜか折り紙を持って路上に立ち尽くしているが、どうしてそうなったのか覚えていないことがあった。息子の誘拐のときも、誘拐される少し前に息子と一緒に公園にいたところから、息子がいなくなり、イーサン自身が折り紙を持って路上に立ち尽くしていたところまでの記憶がない。それでイーサンは、ほかならぬ自分が折り紙殺人鬼なのではないかと悩む。しかしそれはそれとして、この殺人鬼が、折り紙の中に忍ばせた手紙だのスマホだのを通じて、息子を返してほしくば高速道路を逆走してみろだの自分の指を切り落とせだのと無理難題を突きつけてきて、イーサンはそれをこなすのに死ぬような思いをする。果たして折り紙殺人鬼の正体は。そしてショーンは雨によって溺死させられる前に救出されるのか。
- 発売当時としては意欲作であったろうことは間違いないのだが、シナリオ面に限って言えば、あまりよくできている方ではない。人間関係の描写の生硬さもあるのだが、なんといってもまずこの話の最大の謎である「イーサンが犯人なのか」ということと、イーサンが息子を取り戻すためにすることとの間に関連がないことが問題である。つまりイーサンが真犯人であろうとなかろうととにかく息子を取り戻すためにそれをしなければならないには変わりないので、ミステリードラマであるにも関わらず、謎が比較的どうでもよくなってしまうのである。ミステリーならとにかく謎を煽って煽って煽りまくらなければ面白くない。煽るというのは一つにはその謎の答え如何で正しい行動が変わってくるような状況を主人公に次々に突きつけるということである。この話はそうなってない。これは残りの3人の筋についても同じである。
58点/100点満点