Cパート

[S62]~[S91] 「オレ、未来から来たって言ったら、笑う?」まで

Q2.S66.1 [S66-4]でセリフが変更された理由は。

A [S66-4]で和子が「まあね~」といっているセリフは[絵コンテ S66-4]では「私があなたでもそうするわよ」となっている。ここはやりたい放題だった真琴をたしなめるところだが、この元のセリフだとその意味が弱まるからだろう。

Q2.S68.1 福島先生が面談で「模試の成績良かったからって…」[S68-4]といっているが、その模試はいつ行われたのか。

A 模試の成績が良かったということは、タイムリープを使ってズルをした可能性が高いが、残り回数の関係からここでそのために使った回数は1回だけ、つまり過去に戻る片道のみと考えられる。ところが、模試の結果が返却されるには普通一ヶ月程度かかるから、そうすると、タイムリープ後、一ヶ月前の模試から面談の日までの全てをやり直したと考えなければならない。しかしそれは不自然であろう。
 一般には、模試は面談の当日(7月20日)に行われたと考えられている[B館時間軸]。[S67-3]で7月20日に「河合ゼミ」の模試が行われる日程が黒板に書かれていること、[S67-10]で「業者テストのため…」等と書かれた白板が映ること、などもこの立場の傍証となる。しかしこれではどう見ても成績は面談のときには出てこない。
 そこで、この際、真琴は模試のためにはタイムリープをしておらず、一回分は描写されていない何か別のことに使ったと解する立場も考えられるが、これは別の意味で説得力に乏しい。成績のこともあるが、本編では、[S61]で残り回数が明らかにされてからは他のタイムリープの使い道は全て描写されているからである。
 [時系列]では結果の返却に要する期間には目をつぶり一般的な見解に従ったが、この問題は「時かけ7不思議」の一つと言っていいだろう。

Q2.S70.1 [S70-7]で真琴が果穂を助ける気になったのはなぜか。

A 直接には、[S66]で和子に「ちょっと過去に戻れるからってやりたい放題。今までさんざんやってきたじゃないの。」とたしなめられたから。果穂の告白が失敗したのは真琴がタイムリープで点数を上げたことに起因するから、その償いをしようとしたのである。
 この話では、返報性とでもいうべきものが一つのテーマとなっているようで、その観点からは、自分のことを気遣ってくれた功介[S62]に報いようとしたと見ることもできる。真琴の成長を示すシークエンスである。

Q2.S71.1 [S71]からのBGMは。

A J.S.バッハ作曲『ゴールドベルグ変奏曲』(BWV988、『ゴルトベルク変奏曲』『ゴールドベルク変奏曲』『クラヴィーア練習曲集第4部(又は第4巻)「アリアと種々の変奏」』『2段鍵盤付きクラヴィチェンバロのためのアリアと種々の変奏』など、多くの別名がある。正式名称については『知の音楽ゴールドベルク変奏曲と熊本マリ』Webサイトを参照)。
 本編で使われているのは、一回目の告白への試みまでが『第一変奏』、二回目までが『第四変奏』、三回目が『第十二変奏』[DVD限定版 DISC3]。試みの度に変奏を変えつつ、しかも全体としては一つの統一した雰囲気を持つ変奏曲をBGMとすることで、一連の試みによくまとまりがついている。
 なお、理科室[S12]で聞こえるのは同じく『ゴールドベルグ変奏曲』の『アリア』([原作]ではショパンの『ポロネーズ』)、その後のタイムリープ回数チャージの場面の曲はやはり『第一変奏』である。

参考MIDI音源: 『知の音楽ゴールドベルク変奏曲と熊本マリ』Webサイト『遠い日の夢』WebサイトPassacaglia Project。テンポや装飾音、パートの繰り返し方などに違いがあったりなかったりするのが興味深い。市販のCDが欲しい方はこちら
追記: グレン・グールドの1955年版などのmp3が無料でダウンロードできる。

Q2.S77.1 [S77-5]の絵は公式ポスター第一弾([公式サイト]の背景画)と同じか。

A 顔や背景がやや異なるのを別にしても、大雑把に見てポスターの真琴は (1)バッグを持っている (2)靴が外履きである という違いがある。なお、[予告編]は背景を除くとほぼ[S77-5]の方と同じ。また[Q1.5.1]も参照。

Q2.S78.1 3度目の7月13日の朝のシーン[S78]で真琴が桃を持って行かなかったのはなぜか。

A 単に真琴が慌てすぎていたのだろうが、あるいは真琴にとって踏切事故を連想させるものになっていて持って行く気になれなかったのかも知れない。もっとも、そうすると、遅れそうだとはいえ自転車で出かけているのは不思議である。
 プロットの都合という面からいえば、この歴史(及びこの歴史からコピーされた歴史)ではこの日和子の部屋には行かないので、真琴に桃を持って行かせても意味がない。また、自転車で出かけているのはもちろん功介たちの事故を起こすために必要だからである。

Q2.S80.1 [S80-2]で中庭にタイムリープしてきているようだが、どの時点から来たのか。

A おそらく、忌まわしき調理実習の時間の直前から。高瀬の迷惑も考え、回避するのがベストだと判断したのだろう。したがって、高瀬はトンカツ担当のままであり、おそらく高瀬の身に天ぷら騒ぎは降りかかっていないはずである。ただ、そうなると、調理実習直前の時点からこの昼休みの時点まで、真琴は存在しなくなっていると考えられる[S24-3]。なお、[原作]には、タイムリープのせいで突然和子が教室から消え、騒ぎになるというエピソードがある。
 [S78]で戻りすぎたと言っているが、本来は、最初からこの[S80-2]の時点にタイムリープしてくるべきだったのである。[時間軸 歴史No.1]に戻っているのだから、やり直さなくてもテストは9点なのである。

Q2.S81.1 [S81-3]で1年2組に果穂を中庭に呼び出しに来たのは誰か。

A 一瞬映る後ろ姿を見る限り真琴自身が呼びに来たと見られる。[絵コンテ S81-3]には「カット頭、(真)がサッとOUT」との記述がある。

Q2.S84.1 2度目の理科実験室のシーン[S84]で既に千昭がいなかった理由は。

A [時間軸 No.1]では、千昭は放課後、おそらく掃除当番の真琴らを教室に残して功介とともに校庭の方へ一緒に出て行って、ひとしきり功介とふざけて遊び[S9-1]、さらには掃除中の真琴を急かした[S10]後、ようやく実験室に向かったと考えられる。一方、[S84]の歴史では、功介は放課後、果穂を家に連れて行くために真琴を待つことなく早々に下校するつもりだったのだろうから、千昭は実験室へ直行したはずである。そのために千昭は、その分早く着き、早く立ち去ることができたのである。

Q2.S85.1 [S85-1]で功介が「ま…こ…と…っと。」と何か語呂合わせのようにして自転車の鍵(ナンバーダイヤル式チェーンロック錠)の番号を「724」にセットしているが、これが語呂合わせになっているとは思えない。

A 語呂合わせではなく、携帯電話のメールで「まこと」と入力するときに数字キーを「72222244444」等と操作することから来たものといわれている。この直前のショットが携帯電話のメール表示画面であることがヒントなのだろう。

Q2.S86.1 2度目の理科室のシーン[S86-4]で、友梨が理科室に来るとき千昭とすれ違ったと言っているが、千昭は真琴より早く実験室を立ち去ったのだから、真琴とはすれ違わず、しかし遅く来た友梨とはすれ違うというのは不自然ではないか。

A この時は真琴は実験室のドアが施錠されていることを確かめていない。千昭は真琴が入室する直前にこのドアから退室し、その後来た友梨と廊下ですれ違ったのだろう。[大林版]では実験室の錠は南京錠だが、本作では引き戸に内蔵された錠で、内側からは解錠が可能と見られる。

Q2.S90.1 [S90-2]で、真琴が「あたしと野球やってて楽しい?」と訊いたのはなぜか。

A かなりの難問で、今のところ完全に満足のいく回答はない。一応の答えとしては、「果穂に続いて千昭も告白に再チャレンジさせようと誘導した」「友梨とつきあい始めた千昭が野球に出て来なくなったのを見て、本当は千昭は野球が好きではなかったのかと心配した」などが考えられる。
 ドラマの構成上は、[S90]は、後に来る功介の踏切事故への懸念を観客に一旦忘れさせるために、告白をなかったことにしてしまったことを一番知られたくない相手である千昭にそれがバレていたというショックを観客に与えるという機能を持っている。このシーンの重点はもっぱらここに置かれているものと考え、その他の点はあまり気にすべきではないのかも知れない。

Q2.S90.2 [S90-3]で、真琴が「なんだかさ、久しぶりに話すね」といっているが、真琴にとっていつ以来か。

A 直後の千昭のセリフ「朝から話してるだろ」を信用するならばその日の朝以来ということになる。真琴はその日の朝は飛ばしていないからである。しかし、朝話しているのなら真琴がこの時点でこんな発言をするのは奇妙である。つまりここには若干の矛盾が存在する。本来は[S60]以来ということでなければならない。
 さらに本来を言うならば、[Q2.S80.1]で説明したように初めから[S80-2]の時点にタイムリープしてくるストーリーであるべきだっただろう。これならば矛盾は生じない。これは全くの想像だが、元々のストーリーはそのようになっていたのが、果穂のシーケンスが長すぎるという理由で切り詰められたため(なお[ハンドブック p.45])、タイムリープ回数が1回余ることになったのではないか。そして、それを消費するために今の形に変更されることになったが、そのときにこの矛盾が見逃されたのではないか。

Q2.S90.3 商店街の坂での千昭との電話のシーン[S90-6]で、真琴がタイムリープしているらしいことに千昭が気づいていたのはなぜか。

A 最大の理由は、この歴史では千昭が使用済みの装置を見つけたことである[S92-21]。ただ、実験室で千昭は真琴がやってくる前に退室したと解されるから[Q2.S86.1]、これだけでは真琴とは結びつかない。
 今まで真琴は散々タイムリープを繰返してきたが、この歴史での千昭の記憶に残っている可能性のあるタイムリープは[S80-2]のそれだけである。その瞬間を目撃したとまでは断言できないが、真琴の姿が消えていた時間帯もあり[Q2.S80.1]、千昭はこのタイムリープに関連して真琴に対し疑問を持ったのだろう。時間的にはこれが先行し、使用済みの装置を見つけた時点で疑惑を深めたことになる。
 なお、ラスト手前の哲学堂グラウンドのシーン[S108]では、千昭にはこのタイムリープの記憶はないし、使用済みの装置を見つけてもいないので、この時点の千昭が真琴の言葉に驚くのに不自然な点はない。

Q2.S90.4 [S90-10]で、功介たちが自転車で向かっていた先は。

A もちろん「駅向こうの南町」[S85-2]にある果穂の自宅[倉野瀬図]。あるいはその後真琴の自宅に自転車を返しに行くつもりだったかも知れない。

Q2.S90.5 [S90]と[S91]の間で何が起こったのか。

A 功介と果穂が事故死し、泣きわめく真琴を見て千昭が午後3時30分[S91-7]にタイムリープ。そのまま時間を止め、功介の自宅へ向かって自転車を奪う。踏切に行き、踏切に駆けつけた直後の真琴を見つけて、彼女の時の静止を解除し、記憶も事故以降の部分を除いて回復させる[Q2.S102.3]。
 真琴がタイムリープしているときには存在が明かされなかった装置の多彩な「動作オプション」を指定・利用しているが、真琴はタイムリープを我流で使っているのでこれらの存在を知らなかったのだろう。
 なお、静止した時間が真琴が踏み切りに駆けつけた直後(午後3時30分)である(時間が止まっただけでなくかなり戻っている)ことは、直前の黒の回廊[S90-47]でデジタル表示が止まるだけで戻っていないためにややわかりにくいが、踏切のヘリコプターがその印になっている(細かく言えば人物もほぼ同じ。なお、[BTTF])。真琴のキズがなくなったのもこのためである。
 ちなみに、顔のキズがなくなるというアイデアは[素晴らしき哉、人生]を思い起こさせる([かわさき 第十八話]も参照)。

Q2.S90.6 時の静止した世界の踏切で、千昭が「やっぱり真琴か」と言っているが[S91-3]、千昭がこのとき初めて真琴がタイムリープ能力を持っていることを確信したとするならば、その理由は何か。

A 真琴がブレーキの故障を予知して踏切に先回りしていたから。この時点ではまだなんら非常事態は起こっていないのであり、これはタイムリープ能力がないとあり得ないことである。
 別の解釈として、時の静止効果はタイムリープ能力をもっている人間には及ばないのだという説明もあり得るが、その場合、千昭が自転車を踏切に持ってくるまでにかかるはずの時間の説明にやや不自然な点が残る。タイムリープと同時でなくとも、なおかつ残り回数がゼロになった後でも、時を静止させる能力は使えるのだということにすれば、説明は不可能ではないのであるが、真琴の記憶の点[Q2.S102.3]、及び本編の演出[S91]からすると、先に説明した解釈の方が自然に思える。

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