確かに最近の流れからすると、コンテンツの違法コピーとそれに押された無料化の流れはもう止められないのではないかという気はします。
そうするとどうなるか。
音楽についていうと、多分アイドルのように確実にCDやグッズを買ってくれるファンの付く業態が主流になってくるのではないかと見ています。楽曲の良さは、まったく重要性を失うとまではいかないまでも、二義的なものになり、相対的に軽視されるようになるでしょう。要するに、音楽業界は、80年代のアイドル歌謡の時代と大差ない状況に逆戻りするのを余儀なくされるのではないでしょうか。Perfumeなどは、その先駆けなのかも知れません。
アニメや映画などもおそらく似たようなもので、キャラクターの魅力に訴えるものが中心になるものと思われます。実写映画でいえばアイドル映画とか、アニメならいわゆる萌え系など。そういったものが中心になる。元々そういう傾向はありますが、それがさらに強化されるでしょう。ここでも内容は二の次ということになります。
とにかく、客の側がコンテンツ自体に金を出さない以上、コンテンツ自体の質は下がります。
個人的にはそれは残念なことだと思います。ではどうすればいいか。
例えば、ネットの世界にも著作権の補償金制度を導入するということが考えられます。YouTubeなどの「指定設備」及びWinnyなどの「指定プロトコル」に係るトラフィックに対して従量で補償金が掛かるというようにする。ISPが加入者ごとにトラフィックの状況を計測して、加入者から月々のISP利用料と同時に徴収することにするのがいいでしょう。これなら海外のサイトにアップロードされるような場合にも網をかぶせられます。課金システムの構築はやや面倒ですが、補償金の10%程度は手数料としてISPに配分することにすれば、従量制を導入したくてたまらないISPは実質的にそれと同等の効果を持つこの案に喜んで賛成するはずです。収入増だけでなくトラフィックを抑える効果もありますしね。YouTubeなどの側にしても、直接の出費はなくて済むので、受け入れやすい案ではないでしょうか。それに、アマチュア作品にもいくらかの金が回ってくることにもなります。
指定設備の決め方については、基本的に指定設備でないサイトでの著作権侵害については、プロバイダ責任法が適用されないが、指定設備については適用されるということにしておいて、運営者の側から申請して指定設備となることが可能という制度にしておけばいいでしょう。指定設備でない場合、著作権侵害に関する過失の立証責任をサイト運営者側に転換するのもいいかも知れません。また、ファイルアップロードができるなど一定の要件を満たすサイトの場合には、権利侵害を証明すれば著作権者から指定の申し立てもできることとします。