「漫画アクション」2009年1月6日号
押見修三作『漂流ネットカフェ』
- 『漂流教室』に似すぎていて正直如何なものかと思う。
川上弘美原作・谷口ジロー作画『センセイの鞄』「キノコ狩」
- 現時点では『孤独のグルメ』後継作の最右翼。悪くない。
福満しげゆき作『うちの妻ってどうでしょう?』
森下裕美作『大阪ハムレット』「あいの探偵」
- 前後編を通して読んでの感想だが、今回は視点のブレもなく完成度の高い出来。
- あいの探偵を愛すべきキャラクターとしてきちんと描けたことが最大の勝因。
- 欲を言えば、アリサと母親との対立構造を用いて、もっと話を盛り上げられたのではないかとも思われるが、短編という縛りの中ではこんなものか。
ドストエフスキー原作・落合尚之作『罪と罰』
- 原作通りの展開なのだけれど、現代日本で検事が警察署に来て何かするというのはちょっと変では。
- この人の描くキャラクターの演技はちょっとケレン味が強すぎる。もっと自然に。
はたのさとし作『セカイがもえた日』
「ビッグコミック スペリオール」2009年1月1日号
森田崇漫画・北原雅紀脚本『ジキルとハイドと裁判員』
- 訊かれもしないのに親切に設定を説明してくれる不自然な説明セリフが多い。説明も一つの行動なので、一応の動機・必然性は必要。…いや、それよりも、読者が求めていない情報を押しつけるのがつまらない説明ゼリフになる最大の原因か。
- 定石だと、こういう話の場合は、本題に入る前に、「トントン」(パンダの名前みたいだな)が真実を述べる存在なのだということを説明し印象づけるためのエピソードが先行するのが普通。これを導入部と言う。本作のように「必要になった時点で」設定を導入するというやり方だと、作者の都合がミエミエになってしまう。
- 青年誌なのだから、ハイドや「トントン」たちの設定にもう少しリアリティを感じさせる工夫が欲しい。外見も含めて。
- 誤判をすると具体的に主人公がどう困るのかがきちんと描写されていないので、読者は誤判がまずいと理屈ではわかっていても、どうも気分的に今ひとつ盛り上がらない。そのわりに主人公は熱く悩むので、読者は置いてけぼりを喰ったような気になる。その辺をちゃんと描写するか、それともここは一旦そのまま有罪判決を出させてから、悲惨な被告人の姿を描写して改心させるか。何か工夫が必要。
- 脇役のキャラクターの性格がきわめてステロタイプ的で、ありふれた行動しかしていない。
- そのことも関係しているのだろうが、この人のキャラクターの演技も芝居がかり過ぎている。
- なんだかボロクソにけなす形になってしまったが、まあ、まだ第1回なので。。。