これはむしろ「『国語に弱いブロガー』を1秒で見分ける方法!?」とすべき内容でしたね(ただし留保あり。末尾参照)。
(改行+)字下げで表現されるのは「形式段落」であって、これは一行アケされ<p>で表わされる「意味上の段落」とは別物です。形式段落は、意味上の段落に比べると、むしろ句読点に近い存在です。この二種類の違いは国語の時間に習うはずなんですが、元記事の筆者はどうもご存じでなかった様子。また、コメント等でもこの点を理解していないと見られる意見が散見されます。
<p>は英語の段落を念頭において意味が定義された要素と考えられますから、おおまかに日本語で言うところの「意味上の段落」に対応するものと解されますし、実際(CSSで変更しない場合の)デフォルトの表示も一行アケになっています。ですから、意味上の段落については<p>を使い、形式段落には改行+一字下げを使うべきと考えます。
なお、字下げを全角スペースで行なうかどうかについて、元記事のコメント等ではそうせずにCSSで行なうのが良いという意見もあるようです。しかし、形式段落に<p>を使い、それに対して字下げを指定するとすれば、<p>の意味するところを変更することになりますし、意味上の段落をどう表わすかという問題が生じます。一方、理論上は、意味上の段落に<p>を使いつつ、形式段落に<div class=”keishiki”>などを使い、それに対して字下げを指定することが一応考えられますが、実用上、改行の度にこんなことをするのは煩瑣に耐えません。結局、<br> + 全角スペースが現実解となります。
そもそも、CSS派の主張の背景となっていると思われる「スペースをやたらに使うな」という教条の根底には、「レイアウトをスペースで行なうと、書式を変更したときに修正の手間が掛かって大変だから、なるべく使わないようにしよう」という前提となる考えがあります。ところが、行頭に全角スペースを一つ入れることは書式変更時のレイアウトの崩れには繋がらないので、この前提自体が成り立たないのです。形式段落を 改行 + 全角スペース 以外で表わすことも滅多にありません(「天声人語」の類でわずかに見られる程度)。
なお、なぜ形式段落の最初を字下げするかというと、そうしないと改行位置によっては前の行とその次の行とがくっついてしまい、形式段落の区切りがわからなくなってしまうのを防ぐためと言われております。
実際問題として字下げしないブログが多い原因の一つに、WordPressにも採用されているWYSIWYGエディタのTinyMCEに字下げを強制的に除去するという迷惑な仕様が入っているということが関係しているかも知れません。
TinyMCE以外にも、海外製のエディタには似たような問題を抱えているものが少なくないのではないかと思われます。例えば、私が本家サイトの一般記事の方で使っているDreamweaver MXには、行頭に全角スペースを入れようとすると怪しげな動作をするバグがあります。
こういった諸々の技術的制約や、そもそも形式にこだわるほどの内容でないといったことから、形式段落でも一字下げをしないで一行アケにするという選択をする人はいるでしょう。それはそれでいいと思います。ただ、それは言ってみれば妥協の産物であって、ネット/ITに強いということとは違います。