- 回想編は成功しているとは言えない。こういう内容なら、いつものエッセイ風構成でなく、きちんとしたドラマとしての構成が必要なのに、そうなっていない。だから読みにくいし盛り上がらない。表現したいことはわかるし悪くない選択なのだけれど。
- まずなにより、「字の多すぎる」ことが問題というより、ドラマは事実に語らせるものなのに必ずしもそうなってなくて、言葉で思いを説明してしまっていることが問題。読者に感じてほしいことがあるなら、そう感じないではいられないような出来事を示すこと。「僕はこのときこう感じたんです」と自分の結論を言葉で説明するのはドラマではない。
- おそらく、実際にあったことをある面では忠実に再現することにこだわる(しかも昔のことで細部を忘れている)から言葉で補足するしかなくなるのだろうけど……でももともと、相手のあることなんだしまさか全部事実そのままじゃないはずだよね、これ。これはフィクションですという断りの上で作ってるんだから、細部が事実と違っていてもいちいち言い訳しないでいいのだし、架空のエピソードを追加することにも問題はないはず。
- 程度の差はあるが、新海誠もこんな感じだったような。
- そういうわけで、新編集長のウケが悪いのは作品の出来の問題であって、私情によるものではないと思われ。6巻が出るのがこんなに早いスケジュールなのは、こういう終わり方したままほっといたらマズイという編集部の判断によるものであろう。
- 103話の女性編集者の話、以前の巻の内容にしてもそうだけど、福満氏がそれなりに人気ある作家だからそうなってないだけで、本来ならセクハラ訴訟ものですよ。
『僕の小規模な生活』5巻(福満しげゆき著)
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