ロードショー終了間際の平日のシネコンとはいえ観客1人での鑑賞は初めて。
- 『サイコ』製作の経緯を追った実話もの。主な葛藤は、自腹で製作することになった『サイコ』が無事ヒットするかどうかなのだが、まあこれはこの映画を観るくらいの人間なら皆結果がわかっているわけだからかなり弱い。そこで脇の筋としてヒッチコックの妻アルマが浮気する話を追加して二人の関係が破たんするかしないかの葛藤で話を持たせる形。ただ、破たんしたらどうなるのかというところはあまりはっきりしないので、これもあまり強い葛藤とはなっていない。
- そんなわけで、劇中のセリフを借りれば「盛り上がりに欠ける」話ではあるが、そうは言っても、彼の私生活を垣間見ることができる内容で、ブロットや演出に大きなほころびもなく、ヒッチコックファンにはまずまず楽しめる作り。ヒッチコックを知らない人間が見たらどうかは保証しかねるが。
- この作品にしても『サイコ』にしてもそうだが、実話を元にした物語は破綻しにくいという傾向が確かにあるように感じられる。「創作」などというが、やはり根も葉もないところから話を作るのは邪道なのかも。「これは実話である」と表示するシナリオに駄作が多いことと併せて興味深い事実。
ベストシーン
盛り上がりに欠けるので一つを選びにくいのだが……あえていえばやはりバスルームのセットでサクサクやってるところかな。
55点/100点満点