WOWOWにて鑑賞。
- 21世紀に作られたモノクロサイレント映画。そういう意味で意欲作ではあり、それが認められてかアカデミー作品賞を受賞。でもそこまでの作品かというとやや疑問もあり。まあ作品賞はプロデューサーに対する賞だから、よくこの企画を通したという意味の賞賛であり、そういう意味では正しいのかも。
- サイレント向けの大げさな演技がなかなか自然なのにも感心したが、なんといっても犬の名演技に恐れ入った。
- ペピー役の女優はもう少し正統派の美女の方が……
- 劇伴音楽の重要性を再認識させてくれる作品。私見では、劇伴は小説で言うところの地の文の代わりで、特に視点人物の感情を表現するのに重要な役割を果たす。
- ノウハウなど伝わっていないだろうに、よくサイレントのシナリオを書いたなとは思うが、プロットについてはいろいろと問題もある。もっとも大きいところでは、ジョージがトーキーに出演しない理由に共感しにくいことと、ペピーがジョージを助ける理由に倫理的義務の裏付けがないことがある。例えば、ペピーがジョージを追い出すような形で彼の後釜としてスターになったというような事情があれば良かったのだが。実際のプロットだと時期が一致しただけなので、彼女に彼に対する(完全/不完全を問わず)義務が発生するとは言えない。
ベストシーン
やはりラストシーンだろうか。ただ、終わり方がぐずぐずしているのは頂けなかった。「喜んで」で即エンドロールが始まらなければダメ。
50点/100点満点