WOWOWにて鑑賞。
- この前の『ブギーナイツ』に続くポール・トーマス・アンダーソン監督・脚本作。
- 時と場所を同じくするいくつかの筋を一つにまとめたいわゆるグランドホテル形式のシナリオだが、筋の間の内容面での関係はあるようなないようなといったところで、全体として何が言いたいかがよくわからない話。そのために主要な筋を抜き出して短いあらすじを作るということはほとんど不可能である。しかしそれではどんな作品だかサッパリわからないかと思うので、あえて強引に一つ筋を選び出して紹介するなら、敬虔なクリスチャンである警官が、不幸な境遇にある麻薬中毒の女性と結ばれる話、である。この筋がラストシーンに来ている。
- また、葛藤が弱くて話の先行きに興味を持ちにくくもあるが、それを筋をコロコロ切り替えることでごまかしているようなところがあった。海外ドラマの常套手段だが、ごまかしである。
- 上映時間が3時間を超えているが、長すぎる。関係ない話でも詰め込んでいいということになるとシナリオがどんどん膨れていくのだろうが、それにしてももう少し編集で削れたのではないかと思われるシーンが多かった。例によってセルフプロデュースなものだから客観的に見られる人間がいなかったのかも知れない。結局1.3倍速で鑑賞。
- ただ、『ブギーナイツ』同様、演技演出面は優れていて、個々のシーンにはそこそこ場を持たす力があるようである。また、終盤あまりに唐突に起こるカエルの雨の映像はファンが多いそうで、確かによく出来ていた。
55点/100点満点