『インターステラー』(2014)【ネタバレ】


 dTVレンタルの無料キャンペーンにて鑑賞。

  • ノーランの新作SF。詳しいあらすじはWikipediaに完全なものがあるので省略。
  • とにかくブラックホールという題材で一本撮りたかったといったところかと思うが、どうにも無理のあるプロットである。いくら物理学で事象の地平面のあちら側では何があっても不思議ではないとされているといっても、いきなり自分の家の娘の部屋につながるってのは納得しがたい。科学的考証に凝ったという触れ込みだったが、ハードSFとは言えない程度である。また、ノーランのシナリオではいつものことだが、どうも不必要に話が込みあっているようである。それだから説明ゼリフも多くなる。
  • この話の葛藤の構造は、本来的には、(ア)移住可能な惑星へ行って人類を救うが地球に帰って娘に会うことはできなくなる (イ)人類は絶滅するが地球に帰って娘との約束を果たす の2つの選択肢のどちらを選ぶかというものだったろうと思う。一方は倫理的義務でもう一方はそうでない(少なくとも相対的に重要でない)ので、観客から見てどちらを選ぶべきかに議論の余地がない「悲劇型の葛藤」である。主人公が人類を救うために娘を諦め、そのことに観客が罪悪感を感じる。そして両方を解決する方法として重力方程式を解くという方法が提示されそれが実現することにより、罪悪感が払しょくされてカタルシスを得るという筋書きである。いや、そういう筋書きのはずであった。
    この種の葛藤で大切なのは、主人公は躊躇なく倫理的義務の方を選択しなければならないということである。なぜなら、娘と別れなければならないのが倫理的義務のせいだからこそ観客がそのことを申し訳なく思うのだからである。つまり、順序としてはまず先に主人公が倫理的義務を選択・決断するシーンがあって、その後に観客の同情を買うようなシーンが来なければならない。
    ところがこの話だと、この原則に反して、主人公が地球に帰ることに色気を見せ続けるので、観客の罪悪感と同情の度合いが低くなってしまっている。主人公が両立の道を模索してはいけないということではないが、いつまでも決断しないでいて、主人公は倫理的義務を履行しないのではないかと観客に疑わせるようではいけない。
  • dTVのレンタルを初めて利用したが、Google Playと比べると1回の支払いで吹き替え版字幕版両方選べる点、再生位置のレジュームに対応している点などが優れている。

55点/100点満点