iOS版『逆転裁判123HD 成歩堂龍一編』にて引き続きプレイ。
- 新人弁護士成歩堂龍一とその助手綾里真宵を描いた成歩堂龍一編の完結編。逆転裁判シリーズは4以降もリリースされているものの、主人公が変わったりライターが変わったりしているので、さらに言うなら、本作は本来の意味での『逆転裁判』シリーズの完結編でもあると言っていいかもしれない。本作、特にその最終話「華麗なる逆転」の話の中身も、あまりこういうオタクくさい言い方は好みでないのだが、あえて言うなら、これまでのシリーズの伏線を一気に回収して大団円を迎えるという内容であった。
- シリーズを通しての感想だが、細かく見れば問題は多々あるけれども、とにかく個性的なキャラクターの力が強くて、喜劇としてはよくできていると言っていいと思う。シナリオライターである巧舟氏のその点の実力は疑いようもない。
- この作品を『ひぐらしのなく頃に』と比較してみて気づいたことがある。両作品は一見似ているところがあるが、この作品がミステリーなのに対し、『ひぐらし』は悲劇である。悲劇にもミステリー要素、つまり間違った認識からくる矛盾が気にかかるという要素は含まれるのだが、単なるミステリーと悲劇の違いは、ミステリーは間違った認識が比較的早めに正されるのに対し、悲劇はそれが正されないままどんどん事態が深刻になり、しまいには大ごとになるというところである。大抵の場合ドラマとしては悲劇の方が面白い。そしてミステリーには大ごとになっていく過程がないので、長編を作ろうとすると話を持たすために筋書がどんどん複雑になっていく傾向にある。『逆転裁判』シリーズの特に2以降の長編エピソードは、そのようにして話がやや複雑になりすぎたきらいがあり、筆者自身いま話を振り返ってみて正確にプロットを説明できる自信がない。これは本シリーズの大きな欠点の一つだったと言えるだろう。本シリーズはもともとゲームボーイ・アドバンス向けにリリースされたものだが、その主要ユーザー層と思われるティーンズたちが話の内容を正確に理解できたか大いに疑わしい。