『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』

 メタルギアシリーズの最新作にして、小島氏が監督する同シリーズとしては事実上最終作となると見られているMGSV:TPPが発売されたが、著名実況者の間ではほとんど実況されず、PewDiePie氏がプロローグ部分だけ実況したことなどのわずかな例外を除くと、弟者氏の実況が事実上唯一のフル実況となっている。このことから、少なくとも著名実況者は、パブリッシャーから許諾を得られたものを実況するポリシーであるらしいこと、コナミは本作についてかなり許諾先を絞っているらしいことがうかがえる。
 弟者氏が許諾を得られたのは、日本人のハイティーン以上視聴者向け実況者として第一人者であること、比較的批判の少ない敵を作らない実況スタイルであること、それになんといってもやはりMGSシリーズの大ファンだと以前より公言していることからだろう。ただフル実況といっても、サイドミッションは原則として実況しない方針らしく、コナミ側からこまごまと条件が付いているのではないか。
 もっともマイナー実況者はおかまいなしに実況しているようで、これは彼らにとってはチャンスかもしれない。すでに実況動画のアクセスの獲得競争は相当熾烈たが、大半の視聴者が一つのタイトルにつき見る動画は一つだけだから、実況者にとっては先制することが何より大事だ。大物がいないだけでだいぶ有利なはずである。

 ゲームの中身なのだが、ストーリー性という面で見れば薄味な作品である。筆者はこれまでのシリーズのストーリーにあまり詳しくないが、それにしてもプロローグ部分を除けばストーリー性の薄い話であることは間違いない。基本的には、ストーリーは各ミッションの行動目標を与えるためにだけ存在するようである。まあ、ゲーム性を重視した結果としてストーリーはほどほどに済ますというのも一つの考えではある。「映画みたいなゲーム」が常に正しいというわけでもない。ただ、同じオープンワールド型であったGTAVのストーリーがキャラクター面ではそれなりに成功していたのを見ると物足りなさを感じるのも確かである。