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バイオハザード7実況

 待望の新作『バイオハザード7』のゲーム実況が発売日から始まり、先週あたりでだいたいの実況者がエンディングまで到達した。もともと『P.T.』を意識したようなホラー仕立ての体験版の出来がかなりよく、前評判の高かった作品である。今回はどうもCAPCOMが実況を積極的にプロモーションに使用する戦略に出たようで、英語実況・日本語実況ともに著名実況者が発売日に一斉に実況を開始していたのが印象的であった。英語実況界ではPewDiePie率いるRebelModeのメンバーがほぼ全員実況をアップロード。ただし、リーダーのPewDiePieが1日分だけ先行する取り決めだったと見られ、注目度のわりには他のメンバーの再生数はほどほどだったようである。とはいえ久々の大作タイトルなので各人とも気合たっぷり、特にMarkiplierは久々に楽しそうであった。日本でも弟者、ガッチマンなど多くの実況者が実況している。
 ゲームの中身について言えば、月並みな感想で多くの実況者も言っていたことではあるが、久々にホラーらしいホラーに回帰した正統派のバイオハザードという感じ。大味なアクションシューティングだった最近のシリーズと比較すると抜きんでた出来である。ただ、体験版がまさにホラーゲームそのものだったのと比べると、本編の方はややアクションゲーム・スプラッターの成分が濃く、そこは少し期待と違っていた。
 これはまだあまり言っている人が少ないと思うが、今回の作品は演出のリアリティレベルが高い。そして特に印象的なのが、今までのバイオハザードは、舞台設定が「日本人が想像したどこか欧米の国」以上のものでなくていかにも底が浅く、幼稚な印象を与えていたのに対し、今回のバイオハザードは本当のアメリカの片田舎のように見える。また役者の演技のレベルも高い(これが本来の演出という言葉の意味である)。大人の鑑賞に堪える映画のようで、一体制作体制に何があったのか知らないが、これなら世界で戦えるであろう。

『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』

 メタルギアシリーズの最新作にして、小島氏が監督する同シリーズとしては事実上最終作となると見られているMGSV:TPPが発売されたが、著名実況者の間ではほとんど実況されず、PewDiePie氏がプロローグ部分だけ実況したことなどのわずかな例外を除くと、弟者氏の実況が事実上唯一のフル実況となっている。このことから、少なくとも著名実況者は、パブリッシャーから許諾を得られたものを実況するポリシーであるらしいこと、コナミは本作についてかなり許諾先を絞っているらしいことがうかがえる。
 弟者氏が許諾を得られたのは、日本人のハイティーン以上視聴者向け実況者として第一人者であること、比較的批判の少ない敵を作らない実況スタイルであること、それになんといってもやはりMGSシリーズの大ファンだと以前より公言していることからだろう。ただフル実況といっても、サイドミッションは原則として実況しない方針らしく、コナミ側からこまごまと条件が付いているのではないか。
 もっともマイナー実況者はおかまいなしに実況しているようで、これは彼らにとってはチャンスかもしれない。すでに実況動画のアクセスの獲得競争は相当熾烈たが、大半の視聴者が一つのタイトルにつき見る動画は一つだけだから、実況者にとっては先制することが何より大事だ。大物がいないだけでだいぶ有利なはずである。

 ゲームの中身なのだが、ストーリー性という面で見れば薄味な作品である。筆者はこれまでのシリーズのストーリーにあまり詳しくないが、それにしてもプロローグ部分を除けばストーリー性の薄い話であることは間違いない。基本的には、ストーリーは各ミッションの行動目標を与えるためにだけ存在するようである。まあ、ゲーム性を重視した結果としてストーリーはほどほどに済ますというのも一つの考えではある。「映画みたいなゲーム」が常に正しいというわけでもない。ただ、同じオープンワールド型であったGTAVのストーリーがキャラクター面ではそれなりに成功していたのを見ると物足りなさを感じるのも確かである。

『Until Dawn -惨劇の山荘-』(2015)

  • PS4専用ホラーアドベンチャーゲーム。若手中心ながら現役の俳優を起用した映画志向の強い作品で、ゲームシステムも含めて雰囲気は『HEAVY RAIN 心の軋むとき』(2010)に似ている。例えば、画面は原則固定カメラ視点、アクションゲーム要素は射撃とQTEが中心、所々に出てくる選択肢を選んでいくことで誰が生き残るかが変わってくる、などの点が共通している。8/27の発売から一斉に実況が始まり、ぼちぼちエンディングにたどり着く実況者も出てきた。
  • ストーリーなのだが、副題にある通り、下界と隔絶された冬山のスキーロッジ周辺で、そこに遊びに来ていた若者たちが次々に死んでいく(もっとも、うまくやれば全員生還するらしいが)という話である。話の前半はクローズドサークルのミステリー風でもあり、『かまいたちの夜』(1994)や『うみねこ』などを思い起こさせるところもあって若干期待したのだが、後半に入ってミステリーのネタが割れた後(あまり凝った真相ではなかった)、急にB級ホラーというかバイオハザードみたいな話になってがっかりした。ゾンビ化した後のハンナもゾンビの群れの中でどういう立ち位置で何をしていたのかよくわからない。そして何より、この結末では何が言いたい話なのかよくわからない。まさか復讐は行き過ぎだったからワシントン3兄弟は死んでよかった、めでたしめでたしと言いたいのか? そういうことにするには仲間たちの方の性格や実際にしたことに問題がありすぎる。あるいは喧嘩両成敗といったところだろうか。しかしそれはドラマの結論としては曖昧すぎる。それではわざわざ観客に向かって訴える価値がない。
    映像はさすがにPS4の性能を活かしていて特に人物の表情がよくできているし、俳優や演出もそこそこ頑張っていると思うが、ドラマとして見たときはアメリカのB級ホラー映画ないし連続TVドラマ程度、見られないことはないがとりたてて褒めるほどのこともない出来である。
  • 本作はプレイヤーの選択でストーリーが大きく分岐していく「バタフライシステム」を謳っているのだが、どうも選択は誰が死ぬかには影響してもストーリーの大筋には影響しない雰囲気である。『かまいたちの夜』や『ひぐらし』のようにまったく違う話になるのを期待したのだが……。
    この手の分岐システムはループものの元になったと言われるが、実際プレイヤーの選択でキッチリ分岐するゲームというのは案外少ないのではないか。作る側から考えると、同じ設定で違う結末をつけるというのは難しいのかもしれない。といっても、一つだけトゥルーエンドであとは未解決エンドというよくある形ならそれなりに行けそうだけれど……。要はこういうことか、つまり未解決エンドにしてしまうと元に戻ってプレイし直すのがプレイヤーにとって面倒なのでそれなら残りのキャラクターで話を続けてしまった方が効率的だと。

『零 zero』

 ここのところ、日本の著名実況者の一人であるガッチマン氏が『零 濡鴉ノ巫女』シリーズを実況しているほか、英語圏の著名実況者のMarkiplier氏が『FATAL FRAME II CRIMSON BUTTERFLY』(原題:『零 紅い蝶』)の実況を始めるなど、テクモの『零 zero』シリーズの実況が増えてきているように感じる。このお二人は基本的に企業側から許可を得て実況している人たちのようなので、たぶんテクモとしては実況を推進する方針なのだろう。

 このシリーズ、幽霊が次々出てくるのをカメラで撃退するという、それだけ聞くと意味不明なゲームである。どういう理由づけなのか知らないが、主人公らが持っているある特定の種類のカメラにはいわば霊力のようなものがあり、それで撮影すると幽霊にダメージを与えられるというゲームシステムのようだ。
 幽霊が出てくるということで、一応ホラーゲームに分類されているが、実際実況を見ている限りでは『バイオハザード』の日本版という感じで(ある程度『サイレン』あたりの影響も感じる)、テイストとしては第三者視点型アクションゲームであり、本当の意味でのホラーとは違う。以前書いたように、敵に対する対抗手段が明確に確立されているものはホラーではない。

 テクモのゲームということで、女性キャラクターの造形や動き(特に特定箇所の)がウリで、確かにそれ自体はよく出来ている。

 一方で、シナリオの方はお世辞にもよく出来ているとは言えない。このシナリオの作者に言いたいことは、意味深なセリフで伏線を張るだけではストーリーにならないし、謎めいた面白さも生まれないということである。
 ストーリーテリングでまず第一にやらなければならないことは、主人公(視点人物、ゲームではプレイヤーキャラクター)の行動の動機を観客が共感できるようにきちんと説明することである。このシリーズのシナリオは、伏線を張ることにだけ熱心で、この点が極めて不十分である。この手のゲームにおける個々のステージ(面)は、ドラマ用語で言えば一つのアクト(幕)に相当すると思うが、そもそもアクト(幕)とは次のアクトにおける行動の動機を説明するために存在するのである。そのように次々にアクトが数珠つなぎになって一つのドラマが構成される。ところがこのゲームのシナリオの場合、個々の面で行動がブツ切りになっている。以前も書いたような気がするが、たぶん、日本のゲームの場合、まずステージ設計が先にあって、そこにストーリーをこじつけるからこうなるのだろう。アリストテレス言うところの「場面偏重の筋」(『詩学』1451b)である。
 また、ミステリー的な面白さは、単に理解できない情報を観客に提示することで生まれるものではない。なにか観客が知りたいことがあって、その参考になりそうな情報だから興味を惹かれるのである。そういうことが何もないところに単に意味深なセリフを配置しても観客は退屈するばかりである。

『Far Cry 4』『Life is Strange』『Walking Dead』(ゲーム動画)

 ここ最近のゲーム実況動画界のホットトピックスは『Far Cry 4』の登場。さっそく世界各地の実況者がプレイを始めている。Far Cryシリーズはプレイしたことも見たこともなかったのだが、プレイ動画を観る限りでは、『Grand Theft Auto』シリーズ(GTA)を大自然あふれる奥地バージョンにしたものといった感触(英語でfar cryは「遠く離れて」の意)。いわゆるオープンフィールド型FPSで、移動できる範囲が広く遠出するときは基本乗り物に乗って移動、どこに行くかは自由だが、フィールド内に存在するミッションを引き受けて完遂すればストーリーが進んでいくというタイプのゲーム。
 舞台は架空の国らしいのだが、モデルとなっているのはチベットかネパールか……とにかくアジアの高地で、そこに広がる山岳風景が大変美しい。ゲームの映像表現もここまで来たかと思う。
 ストーリーの方は、どうやら当地の独裁政権に対抗して反乱軍(テロリスト)が戦う話で、主人公はテロリスト側ということのようなのだが、ロクに設定の説明がされないので正確なところがよくわからない。実況されているのはまだ序盤だけなので、プレイが進めば追々わかってくるのかも知れぬ。ただ、GTA5あたりと同様に、個々のミッションの独立性が高いので、全体のストーリーというものは相対的に希薄にならざるを得ないであろうと予想される。GTA5の場合、ストーリーに明確な目的がなかったこともあって、仲間たちの絆を確認して終わりという感じで、曖昧な結末だった。この作品の場合は、最低でもテロリスト側が独裁政権に対してなんらかの成果を挙げて終わるのだろうが……。

 SQUARE ENIXから発売された(開発はフランスの会社)アメリカの地味系女子高校生が主人公のタイムリープものアドベンチャー『Life Is Strange』も実況が始まっている(例えばCinnamonToastKen氏)。主人公の特殊能力により、前回行動を選択したところまで時間を巻き戻してやり直すことができるというゲームシステムが特徴。
 英語版しか出てなくて、ストーリーメインのゲームだけになかなかつらいものがあるのだけど、一応英語字幕は付いているのでなんとか見てみた限りでは、5日後に町に迫る大災害を救うために主人公があれこれする話らしい。ただ、この第一話ではそういう目的が匂わされたところで終了。
 ある意味ループものに近いという点と併せてなんとなく『ひぐらしのなく頃に』を思わせる内容。また、灯台が出てくるところなど雰囲気は『Alan Wake』にも近い。
 シナリオの出来という点では、セリフや人間の描写は自然な感じではある。だけど……ちょっと話にエンジンがかかるのが遅いようでこの第一話に限って言えば少々退屈だし、キャラにも魅力が乏しいようである。一本あたり2時間くらいのボリュームで連作していく形式の作品で、このあと第5話まで出す予定らしいのだけど、ちょっと不安な滑り出しである。

 今や旧作扱いにはなるが、同じ連作ものアドベンチャーゲームの『Walking Dead』のSeason 1のシナリオはまずまずよく出来ていたと思う。『Walking Dead』は元々TVドラマで、本作はそのスピンアウト的作品らしいのだが、さすがにアメリカのTVドラマで活躍する脚本家を投入するとはっきり出来が違ってくるようである。また、主人公の行動選択次第で他のキャラクターからの好感度が変わり、それにより話のクライマックスで誰が協力してくれるかが変わってくるというシステムは、日本のギャルゲーとの類似を感じさせた。もっとも、マルチエンディングではないらしく、来てくれる人が少なくとも最終的な結果は変わらないらしい。例えば弟者氏の実況ではたった一人しか来てくれていなかったが、それでも無事エンディングに辿り着いていた。

『サイコブレイク』『Alien: Isolation』(ゲーム動画)

 相変わらずゲーム動画を観ている。
 ゲーム動画には小中学生あたりを相手にしているタイプと、もう少し上の層を狙っているタイプがあって、前者は任天堂のゲーム機やスマホで動くゲームを、後者はPS4やPCで動くゲームを取り上げることが多い。有名なヒカキン氏は前者だが、筆者が見ているのは後者のタイプである。
 その後者のタイプのゲーム実況者の間で、ここ数週間トレンドとなっているゲームが表題の2作品。いずれも10月に発売されたゲームだが、両者ともぼちぼち最後までクリアする実況者が出てきた。

 『サイコブレイク』(英語版の名称は”The Evil Within”)は、『バイオハザード』のディレクターだった三上真司氏の率いるゲーム会社が制作した、現代風バイオハザードといった雰囲気のTPS。基本的には例によって、ゾンビが大量発生しているのをピストルや猟銃で倒しつつ、アイテムを集めて扉を開け、先に進んでいくゲームなのだが、最近の流行を採り入れて多少ステルスゲーム的な要素も入っている。ステルスゲームというのは要するに『メタルギア』風の、敵の目を忍んでかくれんぼしながら進むゲームのこと。本作では、敵に気づかれなければスニークキル(いわゆるバックスタブ、つまり背後にこっそり近づいてナイフで一突きにして殺すこと)ができるので、弾薬の節約になるというシステムになっている。
 公式にはホラーゲームというジャンルになっているものの、筆者の見たところ、サスペンスフルではあるものの、ホラー要素はほとんどない。ジャンルとしてのホラーは、対抗方法がわからない正体不明な脅威に襲われることを指す言葉であるところ、このゲームに登場する敵は大体武器で対抗できるからである。銃や罠で頭や体を吹っ飛ばされたり、スニークキルで頭にナイフを突き刺されたりといったグロテスクな死にざま表現などは山ほど出てくるが、それはホラーというよりスプラッターというべきであろう。このゲームがホラーなら、ホラーゲームでないゲームを探す方が難しいことになる。過去に実況界で流行ったゲームで言えば、『Five Nights at Freddy’s』やSlender Manのシリーズなどが典型的なホラーゲームである。

 多くの実況者はPS4版でプレイしているものと思われるが、やはり今どきのゲームだけあって、映像表現のレベルはかなり高い。特に汚しの表現が凝っている。素晴らしいとは思うが、一体どれだけの開発費が掛かったことか。ゲーム開発費の高騰がゲーム界にもたらす悪影響を考えると心配になる。

 その一方で、ストーリー面については、相変わらず進歩の歩みが遅いように感じられた。主人公に正当な行動の目的を与えるという基本的なところすら満足にできていない。結局、敵が出てきたから倒す、鍵がかかった扉が出てきたから開ける方法を探すという初代バイオハザードの頃のレベルから何も変わっていない。一通りステージ内でやることをやったら大した意味もなく建物が崩壊して別のステージにワープするのみである。また、事件の背景が話を通じて思わせぶりに示唆はされるものの、結局結末まで見ても真相が十分明らかにならない。これでは何のためのストーリーかわからぬ。
 とはいえ、それでも飽きずに動画を観ていられるのだから、アクションゲームのストーリーなんてものはこんなもんでいいのかも知れない。アクション映画のシナリオみたいなもので、付けたしなのである。

 ところでこのゲームは、はっきりとそう言明されているわけではないが、どうも制作側自ら、実況動画がアップロードされるように著名な実況者に対して働きかけているような節がある。バイオハザードの開発者が作ったとはいえ、新しいシリーズなので知名度がないわけで、そうすることで露出を増やしていこうという戦略なのかも知れない。実況動画というものが、ゲームの売り上げにプラスになるのかマイナスになるのか、今のところ業界的にはっきりとした答えは出ていない。今回は新シリーズであることもあって、一か八か試しにプッシュしてみてどうなるか見てみようということなのだろう。果たしてこの結果が吉と出るか凶と出るか、業界的にも注目されるところだろう。個人的には、平均的にはアドベンチャー性の高い作品の場合マイナスとなる可能性の方が高いのではないかと思っているが、知名度のないタイトルだとなんとも言えない。また、違法な動画などのファイル共有をしている手合いがよく言う言い訳「無料で手に入るから手に入れたまでで、もともと購入してまで見たいものではなかったので、ソフト商品の売り上げに損害は与えてない」は、ある程度当たっているところもあり、同様なことが実況動画にも言えるかも知れない。つまり、発売前から楽しみにしているような層は実況動画など見ずにさっさと手に入れて自分でプレイするので、売上に与える悪影響は少ないのかも知れないのである。

 『Alien: Isolation』は、その名の通り映画『エイリアン』(1979)の世界設定を元にした、TPSステルスゲーム。『エイリアン』で主人公のリプリーが行方不明になってからしばらくあとの時代が舞台。リプリーの乗っていたノストロモ号のフライトレコーダーが見つかったらしいというので、リプリーの娘の主人公アマンダがそれが置いてある巨大宇宙ステーション調査に行くのだが、そこにはあのエイリアンが住み着いていた……というストーリー。ゲーム中ではノストロモ号そっくりの宇宙船を歩き回れるほか、シガニー・ウィーバーの音声が聞けるシーンもあったりして、エイリアンシリーズのファンには気になる作品。
 しかし、SEGAが開発した作品であるにも関わらず、なぜか日本語版が発売されておらず、今のところその予定も発表されていないとのこと。そのため実況もすべて英語版でされており、ストーリーの把握が不十分になってしまうのが残念。
 とはいえ、ゲーム部分だけ見てもなかなか興味深い作品で、とにかくエイリアンが怖い。もともと武器の数が少ないうえに、エイリアンに対してはほとんど武器による攻撃が効かないというシステム。ゲーム中盤以降は火炎放射器で一時的に追い返すことだけはできるようになるが、燃料がすぐ尽きるので、結局モーショントラッカー(オリジナルの映画にも出てきた周囲で動くものを表示するレーダーのような装置)を見ながらこっそり忍び歩くのを基本にするしかない。その点『サイコプレイク』と比べて、ステルス要素やホラー要素が大きいとも言えそうである。
 ただ個人的にステルスゲームは、ストレスフルなばかりで気持ちよさがないので、敢えて購入してまでプレイしてみたいとは思えないジャンルである。何度も捕まったりしていたらすぐに投げ出しそうで、実況動画で見るのに適したジャンルであると思う。

ゲーム動画

 WOWOWが錦織フィーバーで資金を使い果たしたのか近頃あまり大した映画を放送しないから、というわけでもないのだが、ここのところYouTubeでゲームの動画を眺める機会が増えた。
 今のゲームは、アドベンチャーやRPGなどストーリーを本質とするジャンルのゲーム以外でも、シングルプレイのモードがある大作ゲームであれば、シナリオがあるのが当たり前になっている。物語を消費したい筆者の立場としてはそのような作品のシナリオもチェックしたいところであるが、なにぶん手先の不器用な性質でもあり、ゲームを進めていくのがどうも億劫である。実際、過去には途中で放り出した作品もあった。その点、ゲーム動画であれば、勝手に最後まで進めてくれるので都合がよい。

 ゲーム動画にはいくつかのタイプがあり、昔からあるのは超絶な技術を誇るスーパープレイ(クリア時間を競うようなもの)を記録したタイプである。しかし最近流行っているのは、実況動画と呼ばれる、基本的には普通のプレイを、プレイ中のプレイヤーの肉声と同録した形の動画である。実況といっても、スポーツ中継のようにしていることを逐一描写するわけではないのだが、プレイヤーがその時々で考えていることくらいは話すのがふつうである。実況動画の場合、プレイヤーも初見でプレイしている(か、少なくともそういう設定でプレイしている)ために、見ている人間との一体感が強い。
 もっとも、実況動画も、さらに分類すると、基本的にはゲーム技術の高いゲーマーが初見でプレイしているか、又は実は既に練習プレイを済ませているが初見のようなふりでプレイしている効率プレイタイプと、本当にずぶの素人がプレイしているタイプがある。ちなみに最近名前をよく聞くヒカキン氏は後者のタイプであるが、やはり要領が一定の限度を超えて悪いと、見ているときにややイライラ感が出てくるのは否めないところである。

 ゲームのシナリオの質は平均的にあまり高いとは言えないが(出来事やゲームシステムを先に決めてストーリーを後付けしているとみられるものが多い)、ゲームそのものの楽しさや実況者の話術の巧みさもあり、見ていて退屈はしないことが多い。権利関係にかなりグレーな部分はあるのだが、ゲーム会社によっては売上に貢献するとして容認するところも出てきているようだ。YouTubeには広告収入をアップロード者に分配するシステムがあり、ヒカキン氏をはじめ専業者も続々登場していることから、今後も伸びていく分野かと思う。
 もっとも参入が容易なことから既に競争は相当激化しているようであり、話術が巧みでなければファンが付かない。また、人気の新作が出たら素早くアップロードしないとお客をとられるので、その早さを競う競争のようになっているところもある。洋モノゲームなどは日本語化される前にプレイを始めないとならないようで、セリフ等が英語のままなものだからストーリーが把握しにくい動画が増えている。ストーリーを語る英語はしばしば難度が高いので、なんとかなるさで始めて結局なんともならないことがある。

 筆者が定期的に見ている実況者を少しだけご紹介する。

兄者弟者(日本語)
ここはガッチマンのあれだ(日本語)
Markiplier(英語)

 なお、YouTubeの他にニコニコ動画にも多数アップロードされているが、日本語のものしかないのと、プレミアム会員とならないと画質が落ちるのが欠点である。ニコニコ動画はコメントシステムがウリだが、ゲーム動画の場合、コメントはかえって邪魔に感じることが多い。アップロードした人の励みにはなるのかも知れないが……