『Until Dawn -惨劇の山荘-』(2015)

  • PS4専用ホラーアドベンチャーゲーム。若手中心ながら現役の俳優を起用した映画志向の強い作品で、ゲームシステムも含めて雰囲気は『HEAVY RAIN 心の軋むとき』(2010)に似ている。例えば、画面は原則固定カメラ視点、アクションゲーム要素は射撃とQTEが中心、所々に出てくる選択肢を選んでいくことで誰が生き残るかが変わってくる、などの点が共通している。8/27の発売から一斉に実況が始まり、ぼちぼちエンディングにたどり着く実況者も出てきた。
  • ストーリーなのだが、副題にある通り、下界と隔絶された冬山のスキーロッジ周辺で、そこに遊びに来ていた若者たちが次々に死んでいく(もっとも、うまくやれば全員生還するらしいが)という話である。話の前半はクローズドサークルのミステリー風でもあり、『かまいたちの夜』(1994)や『うみねこ』などを思い起こさせるところもあって若干期待したのだが、後半に入ってミステリーのネタが割れた後(あまり凝った真相ではなかった)、急にB級ホラーというかバイオハザードみたいな話になってがっかりした。ゾンビ化した後のハンナもゾンビの群れの中でどういう立ち位置で何をしていたのかよくわからない。そして何より、この結末では何が言いたい話なのかよくわからない。まさか復讐は行き過ぎだったからワシントン3兄弟は死んでよかった、めでたしめでたしと言いたいのか? そういうことにするには仲間たちの方の性格や実際にしたことに問題がありすぎる。あるいは喧嘩両成敗といったところだろうか。しかしそれはドラマの結論としては曖昧すぎる。それではわざわざ観客に向かって訴える価値がない。
    映像はさすがにPS4の性能を活かしていて特に人物の表情がよくできているし、俳優や演出もそこそこ頑張っていると思うが、ドラマとして見たときはアメリカのB級ホラー映画ないし連続TVドラマ程度、見られないことはないがとりたてて褒めるほどのこともない出来である。
  • 本作はプレイヤーの選択でストーリーが大きく分岐していく「バタフライシステム」を謳っているのだが、どうも選択は誰が死ぬかには影響してもストーリーの大筋には影響しない雰囲気である。『かまいたちの夜』や『ひぐらし』のようにまったく違う話になるのを期待したのだが……。
    この手の分岐システムはループものの元になったと言われるが、実際プレイヤーの選択でキッチリ分岐するゲームというのは案外少ないのではないか。作る側から考えると、同じ設定で違う結末をつけるというのは難しいのかもしれない。といっても、一つだけトゥルーエンドであとは未解決エンドというよくある形ならそれなりに行けそうだけれど……。要はこういうことか、つまり未解決エンドにしてしまうと元に戻ってプレイし直すのがプレイヤーにとって面倒なのでそれなら残りのキャラクターで話を続けてしまった方が効率的だと。