『フライトプラン』(2005)

 WOWOWにて途中まで鑑賞。

  • 『バルカン超特急』(1938)の、その舞台を航空機内に移した、実質的リメイク・脚色作。プロットやミステリーの構成はほぼそのままで、アリストテレスならこれらは同じドラマだと言うだろう。。また『バニー・レイクは行方不明』(1965)とも似ているとの由。前者の著作権は切れているとはいえ、脚本のクレジットはオリジナル脚本を示す”written by”となっており(脚色作では原作者を”story by”、脚色者を”screenplay by”と分けてクレジットすることになっている)、どうも印象が悪い。そんな風にそれなりによくできた原作をパクって書かれたシナリオであるにも関わらず出来が悪いので、途中で見るのを中断。
  • 一点だけ指摘しておくと、観客としては主人公を信じるべきか周囲の人間を信じるべきかという肝心のミステリーがオリジナルと比べて弱まっている。バルカン超特急では主人公が頭を打っていた上に、周りの人間がはっきりそんな人間はいなかったと断言していたので明確に矛盾していて、いかにも謎らしい謎として成立していたのに対し、この作品では主人公に特に錯乱する理由が見当たらず、また単に娘が乗客名簿に載ってないというだけなので、じゃあ誰かが名簿から削除したんだろうという解釈で解決してしまって謎として成立していない。またバルカン超特急では、もし同行者の実在が本当だったなら、主人公はウソつきたちに囲まれているということになるので、そこからちょっとしたサスペンスが生まれていたが、この話では周囲が本気で娘の不存在を信じているだけなのでそれがない。