TVドラマだけどこのカテゴリで。第一話は見逃した。
- シナリオについては、期待していたよりもいい出来。店側に配慮して言いたいことの言えなくなった昨今の漫画版よりもずっと『孤独のグルメ』らしい話に仕上がっている。
- あえて一点指摘すると、公園の素人将棋に誘われていくシークエンスでは、五郎が子供の頃から将棋好きであったということをもう少し早いタイミングで示した方がよかった。ふつうの人はああいう状況で見知らぬ老人たちのところに誘われていったりしない。
- 松重豊の抑えた演技もよろしい。ただ、脇役たちの演技はコテコテで、それが対比効果によりますます気になってしまった。
- 演出面ではほかにもいくつか気になったところがあった。まず、屋外のシーンで、ピントがきちんと五郎の顔に合っておらず、どちらかといえば背景の方に合っているところがあった。もし単にピントを合わせそこなっただけなら撮影技術上の問題に過ぎないが、背景に注目させるためにわざとこうしたとすれば演出上の問題である。ピントは観客が注目している部分に合わせるのであって、ピントを背景に合わせたから観客が背景に注目するのではない。背景に注目させたいならば、例えば次のようにしなければならない。
- 五郎歩いてくる。ピントは五郎の顔。
- 五郎、振り返って背景の看板を見る。ピント背景の看板に合う。
- 五郎、また前を向いて歩きだす。ピント五郎の顔に合う。
- 二人の人物の会話のシーンで、一方の人物がなにかを話しているのをマスターショットで映しているとき、その相手が石化したように固まっているときがあった。シナリオになにも動作が書いていないからといって、こういう演技をしたのでは不自然である。演出者・演技者なりに何かさりげない動作を考えるか、それができないならカットを割ってフレームの外に出すか、何か工夫が必要である。
- また、会話の「間」が長すぎると思われるところもあった。これが石化の違和感をさらに強くする。
- 出てくるメニューはなかなか魅力的で、「観た後腹が減るドラマ」という目標はおおむね達成されているようにおもわれる。ただ、煮魚はあんまり汁が染みてるように見えなかったな。
60点/100点満点