eBookJapanの電子書籍版にて1~10巻を鑑賞。ブラックジャックの単行本にはいくつかのバージョンがあるが、これは原則として「講談社・手塚治虫漫画全集」版と同一のもの。
- まず電子書籍の使い勝手について。なんといっても、従来の紙ベースの漫画本の場合、読み終わった後スペースを取るのが深刻な問題になるが、電子書籍ではそれを気にしなくていいのが助かる。このeBookJapanの電子書籍は、Amazonのそれと異なりPCで閲覧が可能なので、大画面で読むことができ見やすい。リーダーの使い勝手もまあまあで、読むのにストレスは感じない。
- この電子書籍について。底本になっている講談社全集版同様、全22巻の構成で、作品は初出とは大きく異なる順序で収録されている。掲載順についてはこのサイトを参照。10巻まで読み進めた限りでは、特によくできた作品は第3巻までに集中しており、そのあとは徐々に下降線を辿る感じで、おそらく「よくできている順」ということなのではないだろうか。もし購入するなら、全22巻を大人買いするのでなく、はじめは最初の5巻あたりまでに止めるのを勧める。このシリーズは漫画の神様と言われる手塚治虫作品の中でも代表作クラスだが、できの悪い話も決して少なくない。
- そのよくできている最初の3巻だが、中でも第3巻第7話『上と下』、第1巻第9話『タイムアウト』、第2巻第4話『アリの足』、同第7話『めぐりあい』の4本は誰にも勧められる名作である。特に『上と下』は、話にほとんど隙のない完璧な出来であり、作者の才能を感じさせる。