『ブギーナイツ』(1997)

 WOWOWにて鑑賞。

  • アメリカポルノ映画界の伝説的男優ジョン・ホームズの半生記をモデルにした話。作品全体を貫くような筋は特に存在しないのだが、ポルノ映画監督のジャックに男優として見いだされ、業界のスターとなってから、徐々に上手くいかなくなり、殺人事件に関与するあたりまでの彼の人生が、彼の周辺の人物のエピソードも織り交ぜながら描かれる。
  • 作品のスタイルは『サタデー・ナイト・フィーバー』『アメリカの夜』『パルプ・フィクション』あたりの影響を受けていると見られる。
  • 監督・脚本のポール・トーマス・アンダーソンはこの当時27歳。セルフプロデュースのようだが、ずいぶん恵まれた人である。ちなみに、この作品の元になった短編映画を撮ったのは18歳のときだそうである。
  • シナリオ面をいうと、それ自体興味深い業界の話であるうえ、モデルになったジョン・ホームズの生涯が波乱万丈なので、話の中身にそれなりに惹きつけるものはあるが、話の構成には起こったことを時系列順に並べているだけという面があり、やや散漫な印象を免れないし、結末の印象も曖昧である。しかし俳優たちが個性派揃いで、演出面には傑出したものがあるようである。同じアンダーソン監督・脚本作の『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』も同様の傾向であった。

67点/100点満点