『ももへの手紙』(2012)

 昨年WOWOWでの放映分を録ってあったのをチビチビ見ていたけど、もう限界と思って1時間少々まで進んだところで残念ながら削除。
 この作品は、おそらくは『時をかける少女』とか『河童のクゥと夏休み』のような、一般人が見られるアニメを狙って作られた、基本的にはローティーン層向けのオリジナルアニメ。そういう作品を作ろうという心意気は買うけれど、いかんせんProduction I.G.のクールな絵柄で描かれたヒロインにはどうも華がなかったし、なんといってもシナリオが退屈過ぎた。
 いちおうストーリーは『となりのトトロ』とか『北の国から』といったヒット作を手本にして書かれたと思われるのに(偶然かわからないが同年公開の『おおかみこどもの雨と雪』と基本が同じ)、ここまで見事に失敗しているとなると、その原因にはかえって興味深いところがあるが、ともかくシナリオについて一つだけ指摘するなら、導入部をもっと切り詰めればまだマシだったと思う。妖怪たちの目的が判明するまでに1時間も掛かるのはいくらなんでも長すぎた。そしてどうしてそうなってしまったかというと、おそらく、脚本家の地元の瀬戸内海の島々を観客に紹介したいという脚本家個人の欲求を、ドラマ上の必要よりも優先させてしまったからである。
 さらにいうなら、宮崎駿という偉大すぎる先例があるために業界的におかしな雰囲気になっているようであるが、本来アニメーターと脚本家の仕事には何の共通点もないのであって、どうしてそういう人が脚本を書くという話になるのか理解できない。
 まあそりゃ脚本家名乗ってる人種にも頼りない人は多いだろうけども…