結局買ってしまった。…ただし、中古で。
第二話に入り、episode 1(体験版)の事件の歴史を再度繰り返して事件の真相にさらに迫る話、という説明ではとても納まらない極めて技巧的なストーリーになってきた。ざっくり言うと、この話はメタ世界と物語世界の二層構造になっていて、物語世界で起こることの骨子はepisode 1と共通、孤島に集まった親族及び使用人らがやはり皆殺しになる話である。ただし、殺される人間の順番に多少の違いがあること、そして何より、episode 1では間接的に語られるだけで決して姿を見せなかった魔女ベアトリーチェが、この話では地の文で物語世界に堂々と登場し、魔法の力を振るうことが大きく異なっている。今回ばかりは魔女ベアトリーチェが悪しき動機により皆を殺す話という他なく、episode 1と異なり彼女に主人公たる資格があると言わなければならない。もっとも、物語に主人公たる資格がある人物が2人出て来て、その動機の一方が善いもの、もう一方が悪いものであるときは、後者は主人公(プロタゴニスト)というより敵役(アンタゴニスト)と呼ばれるべきだろうが。
一方、メタ世界では、ベアトリーチェと戦人が物語世界の出来事について魔女犯人説・人間犯人説のそれぞれの立場から推理ゲームを繰り広げることになる。このメタ世界の出来事は、episode 1ではエピローグ相当の部分におまけ程度にあったに過ぎないが、episode 2では大きく前面に出てきている。
……とまあ、この程度の説明では到底まともに説明したことにはならない、とにかくややこしい話である。
この話、技巧的なあまり少々混乱しているようなのが気にかかった。何よりよくわからないのが、メタ世界での丁々発止の前提として、物語の地の文に出てくる表現をどのように扱うつもりなのかである。この話だと、堂々と地の文でベアトリーチェが魔法を使っているのだから、普通に解釈したらそこで魔女の仕業だったということで確定してしまうはずなのだが、メタ世界の二人はその点はあっさりスルーして赤文字部分は絶対正しいとかなんとか言っている。それじゃ物語の地の文は信用できないのが当然の大前提なのか。確かに当ブログの筆者はepisode 1で真里亞の報告の信頼性を疑ったが、そのような説を採用するならするでその時点でその旨の立場と根拠を戦人にはっきりさせてもらわないと困る。episode 2では瓶の手紙も出て来なかったがどうするのか。バラ幻覚説(紅茶も怪しいが)を採るにしたって、その幻覚を見たのが誰かがわからないのでは困る。
また、メタ世界の設定も混乱を招くところがある。メタ世界でのベアトリーチェは魔女犯人説論者、戦人は人間犯人説論者ということになっているはずなのだが、ベアトリーチェが赤文字で真実を語ることができるという設定を持ち出した結果、ベアトリーチェの魔女犯人説論者の「プレイヤー」としての立場が微妙になった。というのは、赤文字で答えるときは真相に拘束されて答えるらしいが、真相を知っていてなお魔女犯人説なら当然それが真相であって、推理勝負も何もないではないか。あるいは、ベアトリーチェが自説に都合のいい設定を後付けし放題になっているように見えてしまう。思うに、赤文字で答えるのはベアトリーチェでなくベルンカステルの役目にするとか、戦人の相手は真里亞にするとか、混乱を招かないベターな方法があったはずである。
展開が展開なので犯人推理の意気は上がらない。『そして誰もいなくなった』と異なり、この話では第三者が島にいないことを一切確認していないので、誰かしら潜んでいる可能性はあると思っていたが、まさかベアトリーチェが人間として堂々と玄関から入ってくるとは予想外であった。
例によって話がなんの断りもなくループしたが、すべてのループで犯人が同一であることは仮定していいのだろうか?