桜の舞い散る季節

○桜の舞い散る雨上がりの通学路(午後)
ランドセルを背負った遠野貴樹(11)と篠原明里(11)が、桜の木を見上げている。明里の手には閉じた傘。
明里「ねえ、秒速5センチなんだって。」
貴樹「えっ、何?」
明里「桜の花の落ちるスピード。秒速5センチメートル。」
貴樹「ふうん…アカリ、そういうことよく知ってるよね。」
明里「ふふん」
と、少し得意げに笑う。
二人は並んで歩き出す。
明里「(落ちてきた花びらを手に取って)ねえ、なんだかまるで雪みたいじゃない?」
貴樹「そうかなー」
明里、駆け出す。
貴樹「あっ…ねえ、待ってよ!」

○小田急線の踏切
踏切にも次々に桜の花びらが落ちてきている。警報機が鳴り始めたところへ明里が駆けてきて、閉まりかけの遮断機の下を向こう側へと通り抜けていく。遅れて駆けてきた貴樹は遮断機に遮られる。
貴樹「アカリ!」
明里、向こう側で立ち止まり、貴樹の方を振り向く。手にしていた傘を差し、くるりと回って見せて
明里「タカキくん、来年も一緒に桜、見れるといいね!」
と微笑みかけるが、そこへ電車がやってきて、明里の姿は見えなくなる。

○タイトル「桜花抄」

以上、『秒速5センチメートル』のファーストシーンでした。
というわけで、今まさに『秒速5センチメートル』の季節ですね。

# ちなみにmixiによると、ラストシーンは2008年の春なのだそうです。

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