『ベッジ・パードン』(演劇・三谷幸喜作)

 WOWOWにて鑑賞。映画ではないけどこのカテゴリで。

  • 夏目漱石のイギリス留学時代を題材にした話。三谷幸喜が初めて正面からラブ・ストーリーに取り組んだ作品という触れ込みだが、実際にはラブコメディといったところ。もっとも、結末で分類するなら、何かが犠牲になることで別の何かを得るという終わり方だから、悲劇に近い悲喜劇(という用語の定義ははっきりしないのではあるが……)である。
  • 脚本面では、細かい部分で三谷幸喜らしいベテランの技術を感じさせる出来ではあるが、葛藤が弱いため特に中盤が退屈。コメディ部分は面白いのだが、それだけでは話が持たない。もっとも、アナグノーリシス後の展開はスピーディーだった。
  • また、人物の動機やドラマのテーゼを言葉だけで説明して終わりにしてしまっている傾向あり。劇中のセリフのように大事なことは言葉にして伝える必要があるという考えかも知れないが、ドラマである以上それだけではダメ。
  • ベッジのキャラクターは、演出の面でも脚本の面でもやや魅力が足りなかった。せっかく深津絵里を起用したのにちょっともったいない使い方である。ラブ・ストーリーとしては不満の残る出来。
  • 野村萬斎と浅野和之の演技は期待以上。大泉洋は、コメディシーンでは光るがシリアスシーンでは今一つか。

60点/100点満点

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