『エターナル・サンシャイン』(2004)

 BS JAPANにて久しぶりに再見。

  • (ネタバレのあらすじ)恋人のクレメンタインと仲違いした主人公の男ジョエル。彼は仲直りを期待して彼女へプレゼントを持っていくが、彼女は新しい恋人を作っていたばかりか、なぜか彼のことを知らないような素振りをする。その後ジョエルは、彼女が心理的施術を受けて彼についてのすべての記憶を消去していたことを知る。憤慨した彼は、クレメンタインの記憶を消去するために同じ施術を受けることにする。だが、施術中の夢の中に甦ってきた彼女との記憶を反芻するうちにそのことを後悔し始め、消去から逃れようと彼女とともに夢の中を逃げ回る。しかしその努力もむなしく二人は次第に追い詰められていき、結局クレメンタインの記憶を失ってしまうのであった。翌朝目覚めたジョエルは何も知らずに出勤しようとするが、ふとしたはずみで会社をズル休みし、いつもとは反対方向の電車に乗って海岸へと出かけることにする。実はそこは彼とクレメンタインが初めて出会った海岸だった。海岸を歩いているとクレメンタインがやってきて、何も覚えていない二人は再び恋に落ちるのだった。
  • …というのが本筋で、これがミステリアスさを演出する幾分時系列が入れ替えられた形で語られていく。これに、施術するクリニックの職員の方の人間関係についての脇筋が絡ませてある。本筋だけならせいぜい45分で十分なところを、脇の筋で無理やり1時間50分に膨らましたような形になっていて、少々冗長なのが残念である。
  • しかし本筋に限って言えば、シナリオがよく書けていることに疑いはない。ジョエルとクレメンタインの弱さがよく描けているし、ついに彼が最後の記憶を失うシーンは悲しみを誘う。そして何より、永遠の恋人という人類の希求してやまない理想が美しく描けている。この作品がアカデミー賞で脚本賞を取ったのは理由のないことではない。
  • 映像面でも、あのゴンドリーの監督作にしては控えめかなと思わないでもないものの、やはり夢の中の映像には彼らしい独自の表現が見られる。一見の価値がある佳作である。

70点/100点満点