『レベッカ』(1940)

 dTVにて鑑賞。

  • ヒッチコックが渡米後に撮った第一作。ヒッチコック作品唯一のアカデミー作品賞受賞作。ちなみに有名な話だが、ヒッチコックは監督賞は一度も取っていない。
  • dTVで見られるヒッチコック作品ということで(よそでも見られる著作権切れ作品が中心なので、ヒッチコック作品目当てでdTVに加入するのはお勧めしない)、何の気なしに鑑賞してみてびっくり。こりゃまず間違いなく『うみねこのなく頃に』の元ネタの一つだ。なにしろ洋館だの壁に掛けられた肖像画だのベアトリーチェ(英語映画なので劇中での発音は「ベアトリス」)だの、見覚えのあるモチーフがゾロゾロ出てくるのもそうだが、なんといっても「愛情のもつれの末に使用人が洋館に火を放って自殺する」という結末が『うみねこ』そっくりである。『うみねこ』でヤスが島を爆破した動機は十分に描かれず、世間でもそれが度々批判されていたが、この『レベッカ』を見てほんの少し理解に近づいたような気がする。
  • この作品そのものの出来はあまりよくないというか、ミステリーでもサスペンスでもないので、ヒッチコックらしい作品を期待してみると肩すかしを食わされる。ただ、『めまい』あたりの原型のような話でもあり、そういう意味ではヒッチコックらしさがないとも言い切れない。ともかく、話のはじめの方ではっきりとしたテーマ・問題が提示され、それについてストーリーが進んでいくという構成の話ではない。いったい何に興味を持てばいいのかよくわからないままに話が進む。その意味で少なくとも筆者好みのシナリオではない。

50点/100点満点