漫画短評: 『僕の小規模な生活』(4)(福満しげゆき著)

  • 福満氏の子どもを描く技術が徐々に上がっていっているのが見られる巻。ただ『よつばと!』みたいな萌え系の絵に持っていくつもりはない模様。
  • 子ども中心の展開になって世間の人気が伸び悩んでいるとの噂もあり。個人的には興味深く読んでいるけれども、子どもの話に興味が出てくる年代は少し上(20代後半頃から?)なので、モーニング読者のボリュームゾーンから外れている可能性はなきにしもあらず。『よつばと!』も若者ウケは良くないらしい。雑誌を移るといっても講談社には「ビックコミック」みたいな位置づけの雑誌がないし、困りますな。
  • 赤ちゃんの耳が聞こえてて良かった。
  • 81話。K澤氏のキャラは福満氏の作品にとって貴重なのでK澤氏は我慢すべし。
  • 92話。考えすぎ。
  • 93話。しかしAmazonだと評判いいし一時的に品切れのよう。ただ、個人的な考えとしては、福満氏はストーリー漫画についてはまだあまり実績がないわけで、いきなり買うのはリスクが高いように感じられる人が多いものと思われ。なか見検索に登録してみては。(追記: モーニングのWebサイトに連載されていたらしいが現在は見られない模様)
  • 99話。「マンガとかグラグラしたものでもらった!/グラグラした原稿料で!/毎月家賃を払って借りてる」は実感出てた。毎回だと困るが、たまにはこういう話もいいかも。

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ボルト

 WOWOWにて鑑賞(吹き替え版)。
 いや相変わらずディズニーの完成度は素晴らしい。アクションシークエンスの映像の出来がいいし、CGの犬がちゃんとかわいらしく描けてたのもいいんですが、やはりなんといってもシナリオがよくまとまっています。特にあのマネージャーのセリフ。あれはなかなか書けませんよ。
 ただ、中盤少し必然性なく話を引き伸ばしているような感じはしましたね。これは近時のディズニーのアニメ全般に見られる傾向で、アニメはもともと分量の割に尺が短くなりがちだそうですし、(たぶん子供向けを意識しているからでしょうが)主要人物の数も少ないので、1時間40分埋めようとするとどうしてもそうなるんでしょう。
 また作品のテーゼと見られるものをハムスターがセリフで演説してましたが、そういうやり方だとどうしても臭くなります。それにラストとそのテーゼとの関連が希薄だったような。特にリタイアの決断は母親でなくペニー自身にさせるべきじゃないでしょうか。流れ的に母親にさせた方が自然なのはわかりますが。

評価: 80点/100点満点

THIS IS IT

 サマーウォーズ公式ブログの中の人(=時かけ公式ブログの中の人, @sw_nakanohito)がシーンガイドを担当されているということで、WOWOWで一度見たけどまあもう一度見てみるかとチャンネルを日テレに回してみたところ、金曜ロードショーの特別版ということで、本編の前に前座みたいなMJの特集番組みたいなのをやってたんですね。
 んでこれがまあなんといいますか、最近の民放バラエティの問題点をすべて凝縮したみたいな見るに耐えない内容で。
 その問題点を一言で言えば、要するに細田監督言うところの「感情の押し付け」ですよ。協調性を悪用して、ぜんぜん驚くべきことでないのにスタジオの人間はみんな驚いているから驚かない方が悪いみたいな雰囲気を作る。ぜんぜんすごくないのにスタジオのみんなはすごいといっているからすごいと思わないほうが悪いみたいな雰囲気を作る。ご丁寧にも驚いてるタレントの顔を小窓で映したりして。そういう雰囲気を作るだけで中身はスカスカ。
 今に始まったことでもないけど、こんなものを視聴者が喜んで見ると思うなよ。
 あっそうか、たぶんアレですね、視聴率が高いと支払額が増える契約かなにかになっていて、日テレとしてはなるべく視聴者に本編を見てほしくなかったのではないかと。だからわざとほかのチャンネルに逃げたくなるようなものを放送したんですね。
 そうとしか考えられない。

 これだから見るのがNHKばかりになるんだよなあ。

 ま、以上は前座部分の話で、本編はよかったですよ。

二重の筋

 アリストテレスは『詩学』の13章で、二重の筋、つまりある人には幸福がもたらされ別のある人には不幸がもたらされるような悲劇を否定し、単一の筋、つまり主人公が不幸になるだけの話でなければならないとしていますけれども、これは正しいでしょうか。どうも私には疑問に思われます。
 アリストテレス自身も名を挙げている『オイディプス王』を例にとると分かり易いと思うのですが、この話では、それとは知らず主人公オイディプス王は自らの母親と結婚して子を儲けてしまい、それが原因で自らの統治するテバイに(神の怒りを買って?)災いを呼んでしまったということで、結末で自らテバイを出て行くことになります。
 確かにこの話では主人公オイディプス王自身は不幸になってます。しかし同時に、災いの原因たるオイディプス王がテバイを出て行くことで、テバイの民は幸福になっているのではないでしょうか。これはまさに二重の筋そのものではないですか。
 要するに悲劇というのは、観客から見た場合、主人公が我々のためになることをしてくれたのに報われることがなくてかわいそう、ということでなければならないわけですから、その意味で自然に二重の筋になってしまうはずなのです。
 いや、アリストテレスの言っているのは悪人と善人が出てくるようなタイプの話なのだ、と限定的に捉えることでアリストテレス理論を救済することは確かに可能ですが、それにしても言っていることが紛らわしいという批判は可能なように思われます。

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恐れとあわれみ

 レッシングはアリストテレスの悲劇の定義(の一部)の「恐れとあわれみ」を「恐れと不安」に読み替えていますけど(参考: 以前のエントリ)、最近やっぱりこの読み替えはちょっと違うんじゃないかという気がしてきました。
 つまりレッシングは自分にも同様の苦難が降りかかる可能性こそが観客にとって悲劇が他人事でなくなる原因の唯一の本質だと考えているようなんですけど、それはそれで一種のホラー型ストーリーにおいてありうるとして、あわれみのほうはもう少し他人の行為についての倫理感と関係したそれとは別のストーリー形態について言っているような気がするのですね。

mixi退会

 もともとがOrkutのパクリだし、設計のはしばしに冴えないところも見られ、野暮ったい会社だなと思いつつも、数年間続けてきたmixiですが、ついに致命的なミスをやらかしたので、もうお付き合いをやめることにして退会しました。
 一応この件はその後引っ込めたらしいですが、そもそもmixiという会社の一般能力、ないしはネットに対するセンスが不足しているのが問題なので、どうせまたやらかすに決まってます。意図せずとも不幸を振りまく人たちには近づかないのが一番。

 というわけで、今後はこちらの更新頻度が増えるかも。

マンガ短評(よつばと!10巻)

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  • 63話、そういえば昔カーテンに丸まるのよくやってたなあ。忘れてた。
  • 64話、キャシィよつば先生登場。ヤンダ(と65話のジャンボ)の突っ込みも絶品。
  • 66話、風香登場するも久しぶりだったからか何かキャラの位置づけが微妙にチガウような。あとスカートこんなに短かったっけ?
  • 67話、確かにヤマダ電機なんだけど、ラストの駐車場はイオンモールあたりっぽい。
  • 69話、まさかここにきてダンボーネタが復活するとは。ちよ父化してるのが笑える。ダンボーネタのときは恵那のキャラが立っているように感じられる。
  • キャラ立ちという言葉の定義は大変曖昧だけれども、その人にしかできないことがあるという意味なのかも。
  • 全体に関して。よつばのいじり役としてヤンダが定着してきたので、キャラの被るあさぎはジャンボとの絡みに使おうという計画なのだろうか。

Windows Server 2008 R2で、Aeroテーマを有効にできない

現象

 Windows Server 2008 R2で、MSKKのサイトに書かれているとおり、サーバーマネージャから「デスクトップ エクスペリエンス」の機能をインストールしてあり、かつ「Themes」サービスも起動してあるにもかかわらず、[個人設定]画面でAeroテーマを選択できない(グレーアウトしている)。

対処方法

 コントロールパネルの[システム]から[システムの詳細設定]をクリックで表示できる[システムのプロパティ]画面で、[詳細設定]タブの下にある[パフォーマンス]の[設定]をクリックし、[視覚効果]タブの下にあるラジオボタンでいったん[パフォーマンスを優先する]を選択して[適用]ボタンをクリックしてから[デザインを優先する]をクリックして[適用]ボタンをクリックする。

参照

win2008workstation.com A few issues…

孤独のグルメ「東京都品川区東大井の冷やし中華とラーメン」

SPA!10月5日(第59巻第41)号掲載

  • 『孤独の中華そば 江ぐち』の影響を感じる内容。
  • 前回に比べると風刺・批判の精神がやや復活はしてきたものの、まだまだ足りてない。五郎(というより久住氏がだろうけれど)丸くなりすぎ。

    Q「マンガというものの本質を、ズバリひと言でいうと、なんでしょう」
    A「風刺ですよ」

    手塚治虫著『マンガの描き方』p.243より

  • そもそも昔の孤独のグルメは、どちらかというと食堂に集う人(客・店員・経営者含めて)を五郎が風刺・批評する話だったが(これは『江ぐち』も同様)、前回・今回の話はそうなってない。

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