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『アルゴ』(2012)

 WOWOWにて再見。封切時のレビューはこちら

  • 『アメリカン・ジゴロ』の後に見たせいもあるが、見直してみるとやはり脚本技術の未熟さが目立つ。前に指摘した点もそうだが、一番まずいのはセリフで説明ばかりしていて描写がない点。
  • それともう一つ大事なのは、こういう話は助けてもらった側の視点で描くべきだということ。

(11/9に追記)

『アメリカン・ジゴロ』(1980)

 WOWOWにて鑑賞。

  • その名の通り、アメリカのジゴロの話。リチャード・ギアの代表作の一つ。
  • 筋の内容をざっくりいうと、客の一人だった女性が殺され、主人公が濡れ衣を着せられそうになるという話である。最終的には、別の客の一人に助けてもらい、主人公が彼女に感激するという終わり方になっている。ジゴロの話に殺人の話を絡めてサスペンス仕立てにするというやり方は少々無理やりな感があるのと、主人公にとって彼女が大切な人になったというだけで、観客から見て彼女が立派にはあまり見えず、例によって印象の薄いメロドラマ的な話に見えるのとで、概して筋そのものの出来は大したことがないと言える。
  • しかし脇役も含めて役者がいいし、シナリオもダイアローグがいい。筋は大したことがなくても、ダイアローグの出来がいいと、映画はそれだけで見ごたえがあるものになる。

65点/100点満点

『天地明察』(2012)

 WOWOWにて冒頭5分だけ鑑賞。

  • 大して笑う理由もないのに役者は張り付いたような営業スマイルを浮かべっぱなし。慌てているのを表現するために蹴躓いてみせるというマンガ的な陳腐な表現を実写映画で平気で使う。ぞっとする演出センスである。
  • ああ、邦画ってなんでこうなんだろう。

10点/100点満点

『シャイニング』(1980)

 WOWOWにて久しぶりに再鑑賞。

  • やっぱりこの話は辻褄が合ってない。というか、結局なんでこういうことが起こったのか訳がわからない。したがってこの話が何が言いたいのかもわからない。話の展開に意外性はあるけど、なんでそういう意外なことが起こったのかというところがいい加減。
  • 演技や映像は確かに優れているけれども、キューブリックとキングの名前がなかったらこんなに有名な作品にはならなかっただろうなあ。

50点/100点満点

Ubuntu 12.04にperlモジュールXMLRPC::Liteをインストールする

 久しぶりにperlでゴニョゴニョしようとして、XMLRPC::Liteを入れようとしたが、CPANやcpanmでサクっとインストールというわけにはいかなかった。ビルドでボロボロエラーが出る。
 暫定的な結論としては、CPANでのインストールの前に、aptの方で以下のようにインストールしておくとうまくいくようだ。
sudo apt-get install libexpat1-dev libnet-ssleay-perl libcrypt-ssleay-perl libxml-parser-perl libsoap-lite-perl
 また、DIME::Toolsはどうしてもtestが失敗するので
cpanm --force DIME::Tools
として強制的にインストールした。

 いきなりCPANだとうまくいかないのはたぶんCライブラリが足りていないからで、上のインストールでそれが満たされるのだろう。
 CPANとaptの使い分けの基準がよくわからないが、aptの方のパッケージ名はlib+< 小文字にしたパッケージ名、::は-に置き換える>-perlという形式になっているので、まずそちらを試して、なければCPAN、ビルドエラーが出たら前提モジュールについてaptを再度試すといったところか。

おまけ:
 perlのモジュールを一括でアップグレードするには、
# perl -MCPAN -e shell
でCPANシェルに入ってから
upgrade
でOK。
# cpan -r
でできるという記事も見かけたが誤り。これではリコンパイルされるだけ。

『ワイルドバンチ』(1969)

 NHK BSPにて久しぶりに再見…だと思うのだけど、ほとんど覚えてなかった。

  • 強盗団(ワイルドバンチ)の一味が、いろいろあった末、最終的には仲間のためにメキシコ軍のマパッチ将軍一味に戦いを挑み、散っていく話。サム・ペキンパー監督。
  • 基本的には西部劇であり、銃撃戦が見どころである。特に最後の銃撃戦は機関銃が乱射される壮絶なシーンである。『ランボー』(1982)あたりからのハリウッドの撃ちまくりアクションの源流はこの辺なのかなあと想像されないでもない。ただ、『俺たちに明日はない』のラストにも似た風味のシーンで、こちらは公表年が2年遡る1967年なので、本当の源流としてはこちらを挙げるべきかも。『明日に向かって撃て!』(1969)の結末とも(実は結末以外も)かなり似ているが、公表年は同じである。
  • 脚本面では、とにかくかつてワイルドバンチの一員だったが今は彼らを追う立場となったソーントンの筋が本筋とすがすがしいまでに無関係なのを特筆すべきであろう。つまり、彼がいてもいなくても同じ結末が生じたに違いない。TV放映の際はどうぞカットしてくださいと言わんばかりである。同じペキンパー作品で『ゲッタウェイ』も3つ巴型の話で、これもまた脇の筋がやたらと目立つ割に本筋との絡みがよくわからないプロットであった。3つ巴はシナリオの地雷なのだろうか。
  • とはいうものの、最後の銃撃戦に至る経緯は確かに彼らを格好良く見せるに十分であった。やはりドラマはこうでないとね。

60点/100点満点

『エターナル・サンシャイン』(2004)

 BS JAPANにて久しぶりに再見。

  • (ネタバレのあらすじ)恋人のクレメンタインと仲違いした主人公の男ジョエル。彼は仲直りを期待して彼女へプレゼントを持っていくが、彼女は新しい恋人を作っていたばかりか、なぜか彼のことを知らないような素振りをする。その後ジョエルは、彼女が心理的施術を受けて彼についてのすべての記憶を消去していたことを知る。憤慨した彼は、クレメンタインの記憶を消去するために同じ施術を受けることにする。だが、施術中の夢の中に甦ってきた彼女との記憶を反芻するうちにそのことを後悔し始め、消去から逃れようと彼女とともに夢の中を逃げ回る。しかしその努力もむなしく二人は次第に追い詰められていき、結局クレメンタインの記憶を失ってしまうのであった。翌朝目覚めたジョエルは何も知らずに出勤しようとするが、ふとしたはずみで会社をズル休みし、いつもとは反対方向の電車に乗って海岸へと出かけることにする。実はそこは彼とクレメンタインが初めて出会った海岸だった。海岸を歩いているとクレメンタインがやってきて、何も覚えていない二人は再び恋に落ちるのだった。
  • …というのが本筋で、これがミステリアスさを演出する幾分時系列が入れ替えられた形で語られていく。これに、施術するクリニックの職員の方の人間関係についての脇筋が絡ませてある。本筋だけならせいぜい45分で十分なところを、脇の筋で無理やり1時間50分に膨らましたような形になっていて、少々冗長なのが残念である。
  • しかし本筋に限って言えば、シナリオがよく書けていることに疑いはない。ジョエルとクレメンタインの弱さがよく描けているし、ついに彼が最後の記憶を失うシーンは悲しみを誘う。そして何より、永遠の恋人という人類の希求してやまない理想が美しく描けている。この作品がアカデミー賞で脚本賞を取ったのは理由のないことではない。
  • 映像面でも、あのゴンドリーの監督作にしては控えめかなと思わないでもないものの、やはり夢の中の映像には彼らしい独自の表現が見られる。一見の価値がある佳作である。

70点/100点満点

『風立ちぬ』

  • 宮崎駿最新作。三菱の航空機の設計者堀越二郎が結核に侵された妻菜穂子を犠牲にしてゼロ戦を完成させる話。堀越の評伝と、ゼロ戦とは関係ない小説『風立ちぬ』をニコイチにした話らしい。
  • まあ狭い意味でのアニメーションそのものは毎度のジブリクォリティで特に不満はないのだけれども(美術だけはやはり山本二三には劣るなと思いましたけど)、脚本の方はどうもかなり問題を抱えていますねえこれは。宮崎駿のネームバリューがあるからいいですけど、ほかの人間が作ってたら第二のゲド戦記の汚名を着ても不思議ではなかったところです。とにかく話が退屈なのがなによりまずい。第一にこれは人物の心情より出来事を追ってしまって段取り芝居になってしまっているのがよくなかったし、またそれと関連していますが、第二には話に葛藤がありませんでした。私が書くなら、結婚はもっと話の前の方に持ってくるし、ゼロ戦の設計を倫理的に義務づけるようなエピソードを冒頭に追加して、これらの間で葛藤を作るところです。でも宮崎駿のポリシーとして戦闘機を作ることを美化するのは抵抗があったんでしょうねえ。結局そこをどう評価するのかが曖昧で、結末も中途半端になってしまいました。ゼロ戦を設計することを「美しい」と表現するのは逃げでしょう。良いことなのか悪いことなのかはっきりさせないと。
  • 主役に抜擢されて話題となっていた庵野秀明の演技だが、そこだけ見ればやはり失敗でしょう。『トトロ』の糸井重里、『耳すま』の立花隆より下手だし、なかなか味のある声だったこれらに比べて声質の点でも疑問です。というか、脇役のトトロや耳すまの父と違ってこれは主役なんで、感情入れないといけない難しいシーンが結構あるんですけど、そういうところがダメでしたね。ただ、この話は師匠宮崎と弟子庵野の話でもあるのかも知れず、そう解釈するなら上手い下手にかかわらずこのキャスティングしかありえないのでしょう。ただそれならカプローニも宮崎駿が演るべきでした。
  • 総合評価としては、金曜ロードショーで見れば十分といったところじゃないでしょうか。
  • ところで宮崎駿のクレジットが「原作・脚本・監督」となってましたが、少なくとも小説『風立ちぬ』との関係では「原作」を名乗るのはまずいのでは。まあ漫画版があるからということなのかもしれませんが、小説の方も少なくとも原作として併記しないと。もともと日本の映画・アニメ界は脚本と脚色の区別をしなかったり、手直し程度しかしてなさそうな監督が共同脚本を名乗ったりとかなりルーズな運用のようですが、感心できません。
  • なんだか全体的に細田作品の影響を受けているように思えたのは私だけでしょうか。特に冒頭などはサマーウォーズと時かけを足して2で割ったような…

45点/100点満点

『メランコリア』(2011)

 WOWOWにて鑑賞。

  • 惑星が地球に衝突するのが不可避と分かり、地球が滅びるばかりになった時期のある家族の話。
  • これ、本来はたぶん『クローバーフィールド/HAKAISHA』みたいなモキュメンタリーを狙ったんじゃないかと思うのだけど、作家性が合わなかったか、うまくいかなくて難解な感じでごまかしたのか、とにかく冗長で中途半端な出来。中身の割に明らかに尺が長すぎる。というか、プロローグと第一部いらない。
  • ただ、役者がいいのでだいぶ救われてはいる。

40点/100点満点